パッシングの原則 その5

パッシングオフェンスは基本的なオフェンスである。オーソドックスなオフェンスである。奇をてらったオフェンスなんかでない。ただの基本通りのザ・バスケットなオフェンスである。故に、それに用いるスキルも基本スキルである。誰でも最初に習うようなことである。しかし、いつからかそれをないがしろにする。バスケットだけでなく、人間って生き物はそういう生き物のようだ。だから先人たちはいつもこう言った「初心忘るるべからず」。基本を見直すことがレベルアップのきっかけになったりするものだ。今回は3つの基本的項目をおさらいする。

1)ボールミートは、昔から変わることのない「最善の」オフェンスである

ボールミートは3種類あって、パッサーに近づくミート(以下プラスX(エックス)のミートと言う)と、パッサーから遠のくミート(以下マイナスXのミートを言う)と、横にズレるミートの3つがある。ミートの種類がどうのこうのってのはどうでもいい話で、それよりも「毎回適切なボールミートができているか」それが肝心だ。ボールミートは小さい頃から指導されている内容であるから、どうしても大人になるとお座なりになる。しかし、ボールをレシーブしてからいざディフェンスをズラそうとするより、ボールをレシーブしながらディフェンスをズらしたほうが簡単にディフェンスを抜けわけで、大人だろうが子どもだろうが使わない手はない。多田ツバサや谷口ノリタカ、寺島や内江がなぜいまだにうまいか、あの体でいいプレーができたり、得点できるのか?その答えは彼らのボールミートにある。いつも的確で、基本通りのボールミートをする。それが彼らの強みで、それを真似することはとてもよいことだと思う。他の行い(人間としての行い)はよすほうがいいが、彼らのボールミートだけは真似する価値ありだ!

2)視野を確保し、相手の急所をつく

「顔をあげろ」。ドリブル練習の際、昔から口すっぱく言われた言葉だろう。「そういうものだと」思ってはいるが、「なぜそうしないといけないのか」は正確には教えられていない。(昔の指導ってのはそういうのが多いよね)。顔をあげて視野を確保することは、抜いたあとの対応のために必要不可欠だ。年々、ヘルプディフェンスのよりのスピードと、その方法は進化している。そんなディフェンスに対して、視野を落とすようなオフェンスをしてしっては太刀打ちできない。ドライブで相手を抜くときは、予測と視野の両方を確実にもって、相手の急所(リングに近い点、線)をより少ない動作で突こう!これらはシンプルな考え方で簡単そうだが、ディフェンスのプレッシャーが強くなればなるほど難しくなる。(後から振り返ると簡単なことなのにね!)。日々の正しいボールハンドリング練習でもって、対人練習の際は、必ずこのことに気をつけて練習して頂きたい。

3)ドリブルは1つ、あるいは2つで抜き去る

視野を確保し、急所を見つけたら、そこを最短距離で最短手数で突く!それが続けてできれば、オフェンス有利の状態になり試合展開を優位に進めることができる。最短距離というのはリングとオンボールマンを結ぶ線で「インライン」上を走り抜けることが理想。そのライン上でもって、ドリブルをつかずにシュートにいけるのが理想のフィニッシュプレーだ。もしそれが可能でなければ、なるべくドリブルの数必要ないシュートでフィニッシュしたい。ついても1つか2つのドリブルまでだろう。それ以上にドリブルをつないといけないということは、もはやそれ自体が相手急所を突けていない証拠となる。また、無駄なドリブルをつかないことはミスの軽減にもつながる。このような細かい部分にもこだわってプレーすると、いまの段階からひとつ上のレベルへ到達できることは、間違いない、、、はず。

パッシングの原則 その4

1)パッシングのはじまりと終わり

パッシングの始まりは「動きありき」。カッティングの動きからプレーは始まる。では、パッシングの終わりはどこか?多くの人は「シュート」と答えるかもしれない。確かにそれで正解なのだが、よりよい答えとして「リバウンド」があげられるだろう。どういうことか?
パッシングは人とボールが動きまわり、ディフェンスをかく乱させるのが狙いなので、オフェンスがシュートを打つタイミングでは、もはやディフェンスはバタバタの状態になっている(はず)。そのシュートに対してオフェンスは動きをとめないで、あたかも「その後もプレーが続いているように」動き続けると、流れよくリバウンドポジション(相手より前)に入ることができる。
パッシングの強みのひとつとして「オフェンスリバウンドのポジションがとりやすい」ということは、意外と忘れやすいので注意してほしい。

2)パッシング習得は基本的技術の習得

先週の練習で、パス展開のマイナスエックスからプラスエックスについて説明した。それというのは簡単に言えば、ただの「ボールミート」である。小さいころから「ボールミートは大切」という指導を受けてきたと思うが、昨今のドリブル技術の向上により、それを忘れているプレーヤーが多い。ボールミートからの正確なフリーフットの使い方(ピポッド)がパッシングでは必要不可欠だ。
またパッシングのメインプレーとなるパスは、バスケットボールの基本中の基本であり、ドリブルができなくてもパスができればバスケットはプレーできるが、パスができないとバスケットはプレーできない。パスの種類は、ショルダーパス、チェストパス、ワンハンドパス、バウンズパスといったくらいでシュートと比べ、数は多くない。それゆえに使い方を軽視されがちだが、ターンオーバーのほぼ6割はパスミスである。正しいパス技術が勝敗をわけると言ってよい。

3)勝敗の分かれ目はリバウンドとパス(ミス)

ロデオの対外試合、武生東の対外試合をデータ分析しはじめて、2・3カ月になる。まだまだその質は低いが、結果から確実に1点、読み取られたポイントがある。誰がどうみたってそうにしか見えない内容だった。
それは「リバウンドとターンオーバーが勝敗をわけている」こと。これらはシュートの本数に直結し、シュートの本数は、それがそのままに得点として反映される。前回のグリフィンズ戦では、シュート確率がロデオのほうが高いにもかかわらず、本数で1.5倍の数字となったせいで苦杯を飲んだ。前述したが、分析結果からターンオーバーの6割(ひどいときは8割)はパスミスだ。その内容については次回以降解説するが、パスの原則を忘れてしまっているのが一番の原因だ。
パスは「相手がここでほしいのが確認できた(間違いない)から、自分はそこに最も取りやすいパスの種類とスピードをもってボールを投げる」動作であって、「味方がこう動くだろうから、とりあえず投げとくか、ポーイ」ではミスになる。アホ見たいな話だが、そういった自分勝手なご都合パスがパスミスの9割と言っていいだろう。

そのような細かい点を見直すために、パッシングはとてもいい材料になる。だからこそ難しいオフェンスだが、得るものはその分大きいだろう。

パッシングの原則 その3

パッシング上達のすすめ

「うまくいかないときを知れ」

うまく人とボールを動かし、瞬間的なノーマークをつくりたいのであれば、いつがうまくいかないのかを知るとよい。いつボールはとまるのか?いつ人はとまるのか?いつ流れはとまるのか?

①フラフラっと動く
②全員がリングカットばかりする
③ドリブルのことを忘れる
④シュートのことを忘れる
⑤「とめてる」のはなくとまってしまっている

①動きの原則は「点から点へ」である。「点から面へ」といったほうがわかりやすいかもしれない。マークマンを振り切り、瞬間的にバッと手をひろげてボールをもらいにくる。この「バッ」が大切。これが「ばぁ~」では、マークマンを振り切れないしパスも入らない(正確にはパスカットが怖くて入れられない)。誰でも二、三回なら続けてできるが、これを40分を通して徹底するのは至難の業だ。

②「はじめに動きありき」がパッシングの原則である。その中でも基本の動きはカッティングだが、全員がこればかりをすると、ボールが入らなかったときにつなぐ人間がいなくなる。結果的に、人だけ動いてボールが動かないオフェンスになってしまう。ワンカッティングダウン(リングカット)、ワンカッティングアップ(つなぎのカッティング)が原則だ。できれば、そのふたつはハサミのようなかたちを描くとオフェンスはよりダイナミックになる。
20130803-224132.jpg

③パッシングオフェンスがパスだけで成立し、それがよりよいオフェンスであれば、全国の強豪チームはとっくにそうしているはずである。しかし、そうしているチームはどこにもない。パッシングだけではどうしてもパスが止まってしまうときがあるorその状態をつくりたくない、などがその主な理由だろう。パッシングにとって、ドリブルはときに非常に効果的に働く。それまでにパスで展開していればいるほどその効果は大きい。そのバランスは、後述していくが、まずは練習の中で肌で感じることが必要だ。

④パスをうけたらキャッチ&フェイス。必ずリングを見よう。そうしないと相手は簡単にパスを読んでくる。パッシンクは「相手に読まれたら終わり」だ。

⑤パッシングは連続性がキモであるが、野球のピッチングのように、いくら早くてもストレート一辺倒のような動きでは、相手に読まれ弾き返されるのが関の山だ。相手のタイミングを外すために、スピードを緩めた動きや全く動きのない(つまり完全にとまった)動きも必要になる。で、大切なのは、自ら止まったのか、それとも止めるつもりがなかったが相手ディフェンスによって止められてしまったのかである。この緩急をうまくコントロールできたプレーは、バスケットやサッカーでは「よく収まりが効いたプレー」と表現される。また、どうしても流れが止まってしまった場合は、自分で止めているという顔をするのも大切なことだ。あなたが考えている以上に相手はあなたの顔色を伺っているものだ。

以上

パッシングの原則 その2

1)相手になれば見えてくる、パッシングオフェンスの「怖さ」と「怖くなさ」。

皮肉なことに、相手から見た方が「本当の姿」がよくわかる。例えば、自分よりも「自分」のことをよくわかっているのは、奥さんや彼女や家族、仲間だ。そこで今回はパッシングオフェンスを、一度簡単に相手(ディフェンス)の立場から見てみよう。そうすることで、パスで崩されることの「怖さ」と、そうでもない部分(怖くない部分)が見えてくるかも・・・。

2)「オフェンスありき」になる危険性。

あなたはディフェンダーだ。相手はパッシングオフェンスをしかけるチーム。さて、どういうプレーをしてくるのか、、、。

さっそく相手はパスをまわしてきた。ボールと人が動き、自分のマークマンもボールをつなぎに動く。ボールを持った。・・・あれ、こいつ、まわりしか見ていない。あ、パスした。(次の瞬間)思いっきりパスラン!?危なっ!!振り切られるところだったぁ〜。あ、またボールをつないだぞ。・・・ん、また味方だけ見ている。こいつシュートを考えてないのか・・・?

相手ディフェンスにとって一番怖いのは「得点されること」である。つまり、シュート、ドライブ、カッティングが、ディフェンスには脅威。対して、ディフェンスにとって最も心安らぐプレーが「パス」である。意図がないパス。これはディフェンス全員にとって怖くない。

前回話したように、パッシングオフェンスは得点のための手段である。バスケットは美しくボールをまわしたところで得点にはならない。しかし、パッシングオフェンスを失敗したチームを見てみると、どうもみんながこのことを忘れてしまうのだ。「自分たちがいかに美しく動きまわるか」で頭がいっぱいになってしまう。これがパッシングオフェンスを取り入れたチームが陥りやすい最初の失敗である。これには十分注意したい。本末転倒になってはならない。

3)3つのカッティングは、ディフェンス位置で判断し、的確に急所をつくべし。

いつどこでかの記憶かは曖昧だが、石崎巧がオフェンスについてインタビューにこう答えている。

「オフェンスの動き方なんて考えなくていいんです。ディフェンスがどう動けばいいか教えてくれるから。」

これは、マコトにマコトに普遍的な真理である。オフェンスは原則として「ディフェンスありき」。パッシングオフェンスの原則は「まず動きありき」だとは前回記したが、その「動き」はディフェンスの位置によって決めればよい。ディフェンスがノーマルなポジションをとっているなら、必ずフロントカット。インラインをよりボールサイドよりに守っているのなら、バックカット(ディフェンスの裏)。アクセントを加えたいのなら3人目のシャッフルカット。この3つがパッシングオフェンスの動き作りの基本なので要チェックしてほしい。

バスケットは、オフェンスが前向きでディフェンスが後ろ向きでプレーする以上、オフェンスが絶対に有利である。基本的にディフェンスは、表か裏かどちらかしか守れないわけで、そこを的確に判断し、常にポジションを優位な位置にとれば、それがよいオフェンスにつながる。

4)相手ディフェンスに余裕があるか?あったらオフェンスの負けは必至。

こいつ、味方しか見てないと思ったら、おれの動きをよく見てやがる・・・!いいタイミングカッティングするから、こっちが味方にカバーにいく余裕が全くないぜ。

と相手ディフェンスに思わせられるか、

こいつ、さっきから動きのパターンがいっしょ。どうもチームの動きが決まってるんだな。よし、ならいっちょ先まわりしてターンオーバーでも狙ってやるか・・・。それ、いまだ!!ヨッシャー!

と思わせるかは、かなり大きな違いである。

うまいオフェンスの動きは、相手の余裕を奪い、「チームとしてのディフェンス」をさせない。オフェンスとしては、局部的にでよいので、カバーできない動きを心がけること。それがパッシングオフェンスには大切だ。それがやがて「ディフェンスを動かす」意識につながっていく。

5)原則を理解している → 臨機応変に動くことができる。

自分たちのチームで簡単なベースの動きがあったとしても、常に頭の中では臨機応変に動けるよう準備しておこう。それが相手ディフェンスからみると脅威につながる。というか、そうでないとただのナンバープレーに成り下がってしまうのがパッシングオフェンスの弱みだ。明成や洛南では、基本原則の理解とその体現を徹底することに、一番多くの時間がかけられているそうだ。パッシングオフェンスの最大の強みは、「臨機応変なプレーの連続生産」である。同じような動きを繰り返したところで、いずれそれは通用しなくなってしまう。

今回のまとめとして、これまでの原則を再度確認しよう。

  1. パッシングオフェンスはあくまでも手段。

  2. パッシングオフェンスがつくりだすのは、ディフェンスの遅れ。それが大きいものを「ノーマーク」という。ノーマークまでいかなくても、一瞬の遅れを作り出し、それを見逃さずアタックする。

  3. 「まず動きありき」。全力のカッティングからすべてが始まる。

  4. オフェンスの動きは「ディフェンスありき」。自己満足なオフェンスでは、ディフェンスの遅れは生み出せない。

  5. カッティングであいたスペースを、全速力で埋めに来るときに「展開」が生まれる。点から点へ全力で走る。

  6. 相手に余裕を持たせるな。相手に自分以外を守らせるな。

  7. 常に原則を忘れない。臨機応変なプレーは、原則からのみ生まれる。